小さな飲食店の成功条件「店舗力」と「人間資本」

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企 業 理 念

ジャスマックは、これまで40 年以上、
人間の魅力・人間の働きが儲けの決め手となる
小さな飲食店の開業チャンスを、
資本がなくてもやる気のある多くの経営者に、
提供し続けてまいりました。

それぞれが持てるものを、有効に結び合わせて
発展させることこそ、
新しい生存のためのノウハウであり、
既存のパワーに対抗できる強力なチカラに
なりえると確信しております。

葛 和 満 博

 

1.「小さな飲食店」が強い

2.飲食店経営は7割が「店舗力」で決まる
~店づくり資金がなくても飲食店経営ができる~

3.飲食店経営は「人間資本」が決め手
~経験がなくても飲食店経営ができる時代になった~

 

1.「小さな飲食店」が強い

1)「小さな飲食店」の出番

近年、大手外食企業の売上げが軒並み不振であることの背景について、さまざまな分析がなされている。

例えばコンビニや中食、ケータリング、ネット通販などにお客が奪われたとの指摘がある。

また、相次いで発生した労務関係のトラブルが、業績に影を投げかけたという人もいるが、私はむしろ、少子高齢化による単独世帯の増加、シニアマーケットの拡大等、社会構造の変化が強く影響しているのではないかと考えている。

一方、最近はインターネットやスマホの普及、食材サイトや調理機器の進歩や充実といったことを背景に、「大きな店」とは違う生き方をしている個人経営の「小さな店」に話題の繁盛店が多いのも事実である。

「小さな」ということについて、マーケティングの専門家で、静岡県立大学経営情報学部教授・地域経営研究センター長の岩崎邦彦氏が、

21世紀は、…小規模が「チカラ」になりうる。「小さいことはいいことだ」の時代が来ている。(日本経済新聞出版社)『小が大を超えるマーケティングの法則』

と、ずばり断定している。

プロの研究者の言葉だから心強い。

岩崎教授は、同書で「小さい店」の強みと「大きい店」の強みを、以下のように対比している(全国の消費者1000人へのアンケート結果)。

●小さい店の強み     ●大きい店の強み
1 個性         1 品揃え
2 サービス       2 豊富
3 独自性        3 安さ
4 小回り        4 価値
5 専門性        5 多い
6 こだわり       6 種類
7 親しみやすさ     7 品数
8 融通         8 大量仕入れ
9 地域密着       9 量
10接客         10総合性

みごとに「小さな店」と「大きな店」の強みを表す言葉が違っている。

言葉が違うということは、それぞれの住む世界も違うということだ。

「小さい」ということと、「大きい」ということは、そもそも違った世界なのだと、私は常に主張し続けてきた。

世界を異にするとはどういう意味なのかと言えば、つまり小さな飲食店と大手飲食企業は、基本的に、まったく業態が違い、経営の中身も異なるということだ。

このことを、岩崎教授のこの対比は、雄弁に代弁してくれている。

競争の法則として有名な「ランチェスターの法則」を基に、どんな経営をすれば成功するかを説いた『小さな会社 儲けのルール』(竹田陽一・栢野克己 フォレスト出版)は、小さな会社を弱者、大きな会社を強者として、弱者は強者と同じことをしていたら負けるしかないと言っている。

 経営戦略として弱者はどうしなくてはならないかと言えば、

・弱者は小規模1位主義、部分1位主義を狙え
・弱者は強い競争相手がいる業界には決して参入しない
・弱者は目標を得意なもの一つに絞る
・弱者は軽装備で資金の固定化を防ぐ
・弱者は目標に対して持てる力のすべてを集中する

などと説いている。

大きな会社を相手にせず、狭い範囲で、得意なことに集中して、そのエリアで1番になればいいというのである。

外食産業を巨視的な目で眺めたときに見える「死の谷」という法則も、「大きい店」「小さい店」に無関係ではないだろう。

事業戦略コンサルタントの鈴木貴博氏が『躍進する会社 潰れる会社」(角川書店)で下記のように指摘している。

外食産業では、規模が最大の2社~3社と、逆に規模が非常に小さい数百の小企業が黒字になっていて、その間にある多くの中規模の企業が低収益か赤字になる傾向がある。

中間が低迷して、谷のようにへこんでいるのだ。

これはどうしてなのかというと、小規模経営から脱して大きくなる過程で、トップ企業との薄利多売の戦いに消耗していくからだという。

だから鈴木氏は、うまく生き残るためにという問いに、次の二つを提案している。

ひとつは…工業化された格安な食材に優位性を求めるのではなく、本質的なおいしさへの原点回帰を求めることです。
そして値下げではなく、おいしさの分を価格に上乗せすることができれば、「死の谷」のトラップから逃れることができます。

もうひとつの具体的なトラップの避け方は、「大きくならない」という選択肢です。…日本の飲食業界を代表する名店は、規模を追わないことでその輝きを維持することができています。
規模を止めて質を高め、常連客の数を増やしていくことで経営が安定する。これが飲食業界の老舗の成功法則です。

おいしさを追求して付加価値を高め、大きくならないと決めることで経営が安定する。まさにその通り、至言であると思う。

みずほ銀行 産業調査部 向井健氏は、「Mizuho Industry Focus」185号のレポートで、「外食産業の持続可能な成長戦略とは」と題して、次の諸点を指摘している。

●食市場で唯一拡大が見込まれる中食市場、中でも高齢化を背景にした病者・高齢者食宅配市場に必要なノウハウを持つ企業とのアライアンス。

●生産・収穫されながらも市場に流通しない国内農産物(規格外品)の活用によって、農家の収入増加、企業の原材料費抑制、および小売店とのアライアンスによる安定供給。

●外食産業の地位向上のために、社会課題の解決と自社の事業成長を同時に求めること。

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2)経営者の人間力で繁盛する小さな店

店舗銀行システム(商標登録第4565391号)がこれまで対象とし、支援してきた飲食店はおよそ3000店舗以上、おおむね10坪から15坪の小さな店である。

この程度の小さな店は、ほとんどが、個人経営の「なりわい(生業)店」である。小さな生業店は、居酒屋でもスナックにしても、経営者の働き一つにかかっている。

経営者が懸命に働けば働いた分だけ、確実に売り上げとなる、やりがいのある世界なのである。

人手が足りないときは、兄弟姉妹、子どもなど家族に協力してもらうか、アルバイトを1人か2人雇う程度でよい。

家族経営については、客の立場から居酒屋探訪家の太田和彦氏が、

家族経営の良さは、働けば働くほど全員がうるおう明快な勤労だ。
仕事の場が自分の店であれば、大切に清潔に使う。その気持ち良さ。(新潮社)『居酒屋を極める』

と表現している。

小さな店なら、忙しい時でも、店主を中心に、1人か2人が手伝うくらいで済むが、15坪~20坪以上の規模の店になると、たとえ家族が一緒に働いたとしても、常時、プラス2,3人の従業員を雇わなくてはならず、経営者には大なり小なり人を使う能力が求められるようになる。

メニューの内容やお客様対応の仕方だけではなく、経営者は「人の使い方」にも頭を痛めなくてはならない。加えて最近は、飲食業の深刻な人手・人材不足が浮き彫りになっているという現実もある。

生業店ならばあまり人を使わないから、そのような気遣いは一切必要ない。

経営者自らが、毎日店に出て、お客様の相手をする。店にいるすべての時間を、おいしい料理づくりや接客に費やし、材料が多少余ったときも、それに手を加えて、お客様にちょっとしたサービスとして提供すれば喜ばれ、食材ロスもない。

経営者の全エネルギーは、お客様に喜んでいただくことに向いている。

こうしたことは大きな店では難しい。

ちなみに「ダンバー数」と呼ばれる数字がある。

イギリスの人類学者ロビン・ダンバー氏が、人間にとって最適な社会集団の規模は、150人前後であるとしたことに由来するが、小さな店に集う、店主とお客様の小集団ほどが、ちょうど安定した人間関係を維持できる人数だとも言えよう。

当然、店舗(企業)の規模の大小は、飲食業に限らず、どの業界にもあるが、飲食店における「小さな生業店」「大きな企業」のそれぞれを成り立たせている決め手は、小さな生業店では「人間力」、大きな企業では「経営手腕」ということになるだろう。

だから手腕のある経営者ならば、小さな店から始めて大きな飲食企業へと成長させることもできるが、経営手腕はともかく人間力に自信があるならば、小さな飲食店で、日々、頑張って働くことによって小は小なりに、仕事の喜びと同時に生活の安定が得られるのである。

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3)売上の40%の実収も可能に

小さな生業店の良さは、採算性にも現れる。

飲食店の経営は、次のような数字が基本である。

飲食店の経営で主たるコストは、「FLコスト」と呼ばれるものである。

Fはフード=原価(材料費)、Lはレイバー=人件費を指す。

人件費には従業員の給料、福利厚生費などが含まれる。

一般的に飲食店のFLコストは、売上の60%程度と言われている。

業態によって多少の変動はあるが、Fコスト30%以内、Lコスト30%以内として考える。

従って、店主独りで切り盛りしている生業飲食店で、給料を従業員に支払う必要がなければ、経営者は人件費分の30%を手にすることができる。さらに、利益10%以上を実現すれば、売上総額の40%以上が実収となるのである。

飲食・サービス業以外例えば物販等では、売上の40%以上を経営者が得るなどということは、まずないだろう。しかも現金商売なのである。
但し、売上が損益分岐点を越えなければ、収入から支出を負担する事になる。

ちなみに現金商売の良い点をひとつ指摘しておくと、積み立て貯金がしやすいことだ。売り上げの一部を、たとえ僅かでも日々積み立てに回しておけば、数年、数十年後には大きな貯蓄に成長し、老後の備えにもなる。

生業飲食店だからこそ、働けば働くだけ、経営者の収入が増えることになる。

忙しくて人手が欲しいときは、前述のように家族の力を借りるか、短期のアルバイトを雇えばよい。当然、その人件費は経営者の収入から支払うことになる。

売上を増やすためには、1人当たりの客単価を上げるか、来客数を増やすか、どちらの方向にするかが店の基本方針ということになろう。

客単価を高めようと料理に腕を振るって質を上げるのはいいが、料金が高くなると客数の減少を招くことになりかねない。しかし客数を伸ばすよりも料理の質を上げて、高い客単価をめざすカジュアル割烹のような店もある。

来客数を増やすには、新規顧客やリピート客を呼び込む販促に力を入れたり、営業時間を長くしたりといった努力が、当然、必要になる。

飲食業を不確かな水商売と考えている人が多いが、私はむしろ、標準経営計数によって判断できる極めて合理的なビジネスだと確信している。

かつて私は『水商売経済学序説』(総合法令)という本を著し、飲食店は計数ビジネスであると説いたが、これに目をとめた大竹愼一氏(現役の敏腕ファンドマネージャー)が『世界金融恐慌序曲』(ビジネス社)で、次のように紹介、また評してくれた。

ジャスマックの経営で成功している葛和満博氏の『水商売経済学序説』(1995年 総合法令出版)から、この計数が、不動産経営にとって、どれほど大事な武器であるかを、引用してみよう。

「水商売の経営状態は計数で理解できる。―中略― この場合の経営計数とは、以下の七つの項目である。

・売上げと店舗投資額の比率
・売上げと店の広さ(客席の数)の比率
・売上げと食材費の比率
・売上げと人件費の比率
・売上げと店費(光熱費、印刷文具費、図書費、通信費、交際費等)の比率
・売上げと減価償却費(元利返済等〉の比率
・売り上げと家賃の比率

客単価が違い、立地が違い、業態が違っても、きちんと営業している水商売の経営計数は、それなりに定まってくるものである。」

水商売経営の成功のキーが、計数であり、それも、その金額ではなく、比率であるというところは、きわめて教訓深い。

われわれファンドマネージャーが、経営を評価するときは、経営計数の金額の大小ではなく、つねに計数の比率の高低であるが、経営者が、土地の含み益に頼らず、まともな経営をするときは、同じように、計数の比率を大事にするということである。

ジョイフル酒肴小路 新装企画店舗 206号室 − 入口

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4)小さな生業店は強い

これまで私は著書などを通して、「小さな店が一番効率がいい」という持論を説いてきたが、経済学者の小幡績氏は、そんな本の一つを読んでくれたようで、氏が島田裕巳氏と共著した『下り坂社会を生きる』(宝島新書)の中で、次のように書いてくださっている。

大蔵省に入ったころ、地下の売店で売っていた『水商売経済学序説』(葛和満博・総合法令)という本を、興味があって買って読んだら、目からうろこだった。大学時代に読んだ、どの経済学の教科書よりも、真実が書いてあった。

つまりその本によると、流行っていない店に行けばすぐわかるらしい。昼間で、お客さんがいないときでもわかる。

島田さんと全く同じことを言っています。ほとんどの店は広すぎるんだそうです。

もし30人の席がある店があったら、店を2つに割って、2つ店を作れと。そして、2人の人に任せろ、と。つまり、席は10~20。

そうするとママ1人の魅力で店が切り盛りできる。

お客さんを引き付ける魅力のあるママはいっぱいいるけれど、人を使えるママはほとんどいないし、人を使うのが上手なママは、逆にママとしては魅力がないことが多い、

2つを兼ね備えた人というのは、よっぽどの人だから、そんな人は30人じゃなくて、300人入る巨大な店か、チェーン化して15人の店を10軒持てる。

だから、水商売をやりたければ、全員のお客さんを自分で相手にできる、マネジメント能力のいらない店をやりなさい、と言う。せいぜい掃除のバイトの子とか、男の子を雇うだけにしなさい、と。すごい真実ですよね。

ここに紹介していただいた通りで、儲かる店づくりさえ出来れば、小さな店の成功率は高い。

また、かつてお金儲けの神様として有名な邱永漢氏(作家)とは、店舗銀行システムが縁で知り合ったのだが、氏の著書『悪い世の中に生きる知恵』(日本経済新聞社)には、かなりのスペースで私と店舗銀行システム、あるいは小さな店の良さについて書いていただいた。

その一部を紹介させていただこう。

『店舗銀行』というと何やら奇異に聞こえるが、人材の斡旋をするのが「人材銀行」で、店舗の斡旋をするのが「店舗銀行」だと思えばよい。

『店舗銀行システムによる飲食業の革命方式』を書いた葛和満博さんが、このシステムを水商売に応用しようと思いついたのは、多分、自分がこの商売をやってみて、水商売の長所や欠点を巧みに補い合う組み合わせが可能だと確信したからであろう。

全国チェーンをつくることは大手飲食業者に任せて、小型店のなかでどういう業態が十坪店として成り立つかを工夫したほうがよいであろう。

例えば、先に紹介した葛和満博さんの店舗銀行は、十坪前後の、それもパブとか一杯飲み屋とかバーみたいなアルコール・メニューを主体とした店をもっぱら対象にしているが、夫婦だけが働いて、ほかに1人か2人のアルバイトを使うだけで成り立つ料理店はないものだろうか。

面白いもので、日本人は晴れがましい結婚式とか受勲祝賀会とかいった場合を除くと、大きな店よりも小さな店で飲んだり食ったりするのを好む。

ホテルの日本料理屋をみてもわかるように、大きな店に仕切りをしてわざわざ小さな店に見せている。

だから、カウンターだけで夫婦二人だけで働いている店でもコンプレックスを感じないですむ。

まさか世の中、会社をやめた人がすべてパブのおやじになるわけにもいかないし、小さな町を全部パブで埋めてしまうわけにもいかない。

したがって、二十人も三十人も働いているような大きな有名天ぷら屋があって不思議ではないが、天ぷらを揚げる個人作業は一人一人でやるものだし、

むしろ一人でやるほうが真心がこもり、おいしい料理ができる可能性もあるのだから、一人で一店という方式が成り立っても少しもおかしいことはないのである。

これから職人の修行に入る人も、修行を終えれば独立をしたいと考えている人も、一人で店をひらいたら、はたしてやっていけるかどうか真剣になって検討してみる必要がある。

私の持っている赤坂と新宿のビルの地下にあった飲食店は何回、代替わりをしてもうまく経営できなかったが、

葛和さんが後を引き受けて、赤坂を1軒から3軒へ、新宿を1軒から2軒へ細分して新規に店開きしたら、みごとに息を吹き返して繁盛するようになった。

と著書に書いていただいたように、氏所有の飲食店の経営を引き受け、小さく分割して再生させた。

ジョイフル酒肴小路 新装企画店舗 405号室 − 店内

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5)FCとはまったく違うシステム

ここで、店舗銀行システムは、一般に言われるフランチャイズ・システム(FC)とは全く違う仕組みだということを確認しておきたい。

ここであえてFCに言及するのは、

「フランチャイズ」というと比較的簡単にもうかる商売と思っている人々も多く存在し、安易に取り組んで失敗するケースが多々あるからです。(内川昭比古・日経文庫)『フランチャイズ・ビジネスの実際』

という指摘もあるからだ。

フランチャイズの定義は様々だが、中小企業庁のホームページを見ると、

「一般的には本部が加盟者に対して、特定の商標、商号等を使用する権利を与えるとともに、加盟者の物品販売、サービス提供、その他の事業・経営について統一的な方法で統制、指導、援助を行い、これらの対価として加盟者が本部に金銭を支払う事業形態である」

とされている。

店舗銀行システムは、いろいろな面でFCと決定的に違う。

一番大きな違いは、店舗銀行システムの経営者は、店のオーナーとしてすべての決定権を持って自ら思い通りに経営できるが、一方、FCでは独創性や経営の自由といったことが制限される。

FC本部と加盟店は独立した企業体であるにも関わらず、加盟店はメニューや販促、サービスの方法、仕入れルート等の変更ができない。

一方、本部は加盟店の考えに関係なく、営業政策やシステムの変更を行う。

コンビニ店の例で、かつて狭い地域に本部が一方的に別の加盟店を出店した。

営業的にはたいへんマイナスであると抗議をしたが、契約上、加盟店にその出店を拒否する権利はないと言われたというケースもある。

このような本部の統制や加盟店への制限は、ビジネスの主体があくまで「FC本部」にあることを示している。

つまりフランチャイズ・ビジネスは、加盟店というよりは、本部のためのビジネスであるということである。

店舗銀行システムにおける経営者は、店舗銀行がつくった店舗を借りて開業するだけであり、FCのフランチャイジーが背負う設備投資リスク(店舗の所有や店づくりの費用など)からも、完全に免れている。

従ってたとえ失敗したとしても、借金を残さず、また、別の世界で成功を目指すことも可能となる。

ともあれ、FCに加盟するには、かなりの資金が必要となるので、それなりの覚悟が必要だ。

あいまいな動機や、加盟さえすれば後は本部が何とかしてくれるだろうという安易な気持ちでは、失敗することになるだろう。

また、やる気と能力のある社員の独立を、資金面、経営面でバックアップする「社員独立支援制度」を採用している企業もあるが、この場合、独立後も、本社とは資金面(銀行融資の連帯保証や株式保有など)で密接につながっていることが多く、完全に経営者が自立している店舗銀行システムとは、異なる制度であることにも触れておきたい。

J-Room 706 - 店内

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6)店舗銀行は自立を強く願う人にチャンスを

いまの世の中は、働く人々にとって、たいへん過酷な時代にある。

格差社会は広がる一方であり、働く環境は日増しに厳しくなっている。

進化するAI(人口知能ロボット)に、やがて多くの人が職場を奪われる時代が来るだろうとも言われている。

当然、熾烈な競争の中で企業のリストラも激しくなるだろう。

国の年金制度も、財政危機の中で危うい状況にあり、老後の生活が成り立つかどうかわからない。

会社も国も頼れない時代なのだ。

まさに自助努力に頼るしかないのだから、いっそサラリーマンを辞めて飲食業で独立して、自分の店を持ちたいと考えている人も多い。

しかし、現実は非常に厳しい。

問題は色々あるが、もっとも大きいのは飲食店の開業にはかなりの資金が必要だと言う事だ。

やる気や能力があっても、すぐに望むような生き方が実現できるわけではない。

しかも、飲食店で自立したいと考えていた人が自力で店づくりをし、独立したとしても、その成功率は低い。従って、金融機関も、担保でもない限り飲食店にはなかなか融資をしてくれない。

そうした人達にとって、店舗銀行システムは、大きなチャンスとなるはずである。

店舗銀行システムの経営者は、繁華街好立地に店舗づくりのプロがつくった、収益力のある店で開業できるのである。

従って、その為の借り入れに頭を痛めることもない。

加えて、店舗力のある店と人間力のある経営者が一体となることで相乗効果を発揮し、繁盛店となる確率が高くなる。

しかも経営者は、独立開業した後は文字通り自分の力に応じて、どこまでも収入を増やすことができる。

収入が一定だったサラリーマン時代とは違い、独立してから手に入れる収入は、自分の人間力で稼ぐ「実収」なのである。

努力が求められるのは当然だが、働けば働くほど、より多くの収入が自分のものとなる。

ちなみに店舗銀行システムには売上げ歩合等は一切ない。つまり、家賃が変動経費ではなく固定経費なのである。

したがって、売上が損益分岐点を超えると、利益は急速に拡大する。

それに、経営者には、サラリーマン時代と違って定年もない。自分が納得するまで楽しく働いて、老後の資金を蓄えることもできる。

自分の好きな道で、楽しく働きたいと考える人。
自分の人間資本に目を向けて、それを力一杯発揮して生きてみたい人。
コミュニケーション力を生かし、趣味の楽しさを活かし、人間関係の広さを生かして仕事を続けたいと考える人。
働いたら働いた分、きちんと報われる仕事に就きたいと願う人。
元気なうちは、年齢に関係なく仕事をしたいと考える人。

そういう人こそ、つまり、生涯、社会の一員として関わりを持つことに幸せを感じたいと願う人こそ、店舗銀行システムで、小さい飲食店経営に挑んでみる価値のある人ではなかろうか。
そこで次章では成功に不可欠な店舗力、人間力について述べたい。

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2.飲食店経営は7割が「店舗力」で決まる
~店づくり資金がなくても飲食店経営ができる~

7)運営のプロ必ずしも店づくりのプロならず

店舗銀行システムは、店舗銀行のつくる店舗力と、経営者の人間力によって成立している。
まず店舗力について述べたい。

一般にサービス業だと思われている飲食店なのだが、一面では店舗づくりで勝負する装置ビジネスである。

舞台と役者の関係に例えれば、しっかりした舞台(店舗)で、役者である経営者が人間力、サービス力を発揮してこそ、始めて成功するのが飲食店経営なのである。

飲食業の経験者が独立して失敗するケースを調べてみると、多くは立地・店づくりや資金繰りで失敗をしている。

運営のプロ必ずしも店づくりのプロならず、である。

それに、飲食店を新たに開業するには、保証金や権利金、店舗設備の施工費など大金が必要になる。これらを借入金で調達すると、そのための元利返済に追われて資金繰りに詰まる。

従って、経験豊かなプロが立地に合わせて儲かる店づくりをする店舗銀行システムを利用する方が飲食店経営の成功率は確実に高くなり、合理的である。

私の経験では、飲食店を繁盛させる要素は、店舗力7割、経営者の人間力3割である。店舗力については8割だというコンサルタントもいるほどで、成功・失敗を決定的に分ける力だ。

店舗銀行システムでは、店づくりの専門家が独自のノウハウで、業態に合わせて、儲かる条件のそろった店舗づくりを行う。

収益力のある店舗=舞台で、自らの人間力を発揮した経営者=役者が、存分にお客様を満足させる事の出来る店は、必ず繁盛するのである。

従って店が儲からない場合は、舞台(店舗)というより役者(経営者)に問題があるわけだから、経営者本人にとっても、できるだけ早く廃業の決断をして、別の進路を考えたほうが自分のためになる。通常一年もあればその見極めもつくはずだ。

その場合、店舗銀行は、より能力のある経営者に再び店を任せることで投資リスクを回避する。
一方、退店する経営者は、店を店舗銀行に返すだけで済むことを重ねて強調しておきたい。

ジョイフル酒肴小路 新装企画店舗 507号室 − 入口

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8)成功する飲食店づくり

店舗銀行の役割は次のとおりである。

1.店づくり(立地開発)
店舗設計(レイアウト)
デザイン(店舗の個性重視)
内装・設備(給排水、給排気、電気容量、ガス容量等)の確認
厨房設備
2.経営指導(開業・運営サポート)
3.集客
店舗案内看板(デジタルサイネージ)
WEBの活用(店舗銀行のホームページ)
イベント(パブリシティ)

そこで、店舗づくりのポイントは何かである。

店舗づくりでいちばん大きな要素は、「立地」である。

成功するためには、間違いない立地選びをすることである。

やや失礼な例えになるかもしれないが、釣りをするときにどんな場所で釣り糸を垂らすかを考えれば、ベストの立地がわかるだろう。

考えるまでもなく、釣り場は魚がいるところでなくてはならない。つまり特別な店でもない限り、飲食店は釣り堀のように人の集まる場所が最適である。

では、どんな場所に人々は集まるのだろう。

繁華街には、飲食店舗が多く集まっている。店が集まれば、そこに集積の効果が発生する。

だから、店舗の集積する商業一等地、繁華街、駅周辺が、飲食店の一等地なのである。

店舗銀行システムの商業ビルが、いずれも大都市の繁華街一等地に建てられているのは、そのためである。

店舗設計にも、細心の注意が必要である。

店舗銀行システムの店舗は、原則少人数で切り盛りできる広さ(10坪~15坪)である。この様な小規模店では厨房設備やトイレの位置、「死に席」をつくらないような客席の取り方など、効率よく営業ができるレイアウトは限られる。

又、繁盛店を目指し、個性を重視した店舗デザイン設計も行っている。
加えて、給排水、給排気、冷暖房等の設備なども、十分に考えた店づくりをしなければ飲食店としての店舗力は発揮できない。

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9)居抜き店舗のメリットとデメリット

ここで、最近話題の居抜き店舗についても触れておきたい。

飲食店は多額の出店費用がかかる業種であるため、安く手に入れる居抜き店舗を利用しようという人は多い。
最近はインターネットを駆使した居抜き物件の専門紹介会社もある。

確かに、繁盛店の経営者が高齢等を理由に引退した店をそのまま引き継いだ、というケースなどは、店の顧客も一緒に引き継ぐことができるから、これ以上のメリットはない。

ただし、そういういい店は、往々にして内々で後継者が決まり、一般に出てくることは稀である。

多くは、現在のオーナーが立地選びを間違えて経営に失敗したなどの理由で造作権が売りに出ている物件である。従って撤退・廃業することになった理由を把握することが必要だ。

例えば、物件の中には経営に失敗し、退店したいのだが、家主との賃貸借契約に「退店の場合には原状復帰にすること」とあり、解体費用が掛かるので居抜き店舗として、たとえ安くても造作権を売ろうと考える場合もある。

こういった居抜き店舗で最も慎重にチェックしなくてはならないのは、目に見えない給排水や給排気等の設備である。

せっかく安い居抜き店舗を手に入れたと思ったら、水漏れや臭いなど、給排水、給排気に大きな不都合が見つかったり、電気やガスの容量が不足していて厨房が使えない、等のトラブルに見舞われ、結局、改修工事費が高くついたという話は決して珍しいことではない。

慎重の上にも慎重にチェックすべきであろう。

又、例え、造作権の売買が合意したとしても、新しい経営者は家主と直接契約しなくてはならない。

その際に、家主が家賃を値上げすることもあるから、造作権買い取り前に賃貸借条件等の確認が必要である。

ジョイフル酒肴小路 新装企画店舗 301号室 − 店内カウンター

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10)「酒肴小路プロジェクト」の革新性

店舗銀行システムの店づくり思考の集約された姿が、札幌市の7階建て「ジョイフル酒肴小路」である。

「ジョイフル酒肴小路」は、7階までの各フロアー、それぞれ特長のある56店舗が軒を並べる路地を立体的に構成し、「天空の路地をめぐる楽しみを、十分に味わっていただく」という新しいコンセプトでつくられている。

全館、さまざまな業態の飲食店が軒を連ねることによって、ビル全体に集客力が生まれる。

さらにビルの入り口には、デジタルサイネージ(電子看板)を設置、それぞれの店舗やメニューが動画で紹介され、来店客の案内に効果を発揮する。

居酒屋などの飲食店の立地としては、当然、地階、1階あるいは2階までが、理想だが、実際、繁華街の一等地で、手ごろな物件を見つけることはなかなか難しい。

特に小型店舗となると極端に少ない。たとえ運よく見つかっても賃料が高い。

しかし今や、必ずしも地階や1、2階にこだわる必要のない時代になった。

というのは、スマホの活用が普通となったネット時代となって、店舗情報が容易に発信できると同時に、お客様も簡単に、行きたい飲食店の内容や所在地が検索できるようになった。

例えば、地価の高い立地でも、マンションとして立体利用することによって、マイホームを庶民の手の届く価格で販売できるようになったと同じく、繁華街一等地のビルを立体路地とすることで、合理的な家賃設定が可能となった。

店舗銀行システムの家賃は、標準的な経営計数から導き出され、正常に経営すれば十分に支払い可能な金額に設定されている(目標とする客単価と客席の回転数で予測できる)。

詳しくはこちら >

加えて固定家賃であることによって、それが経営者の努力目標にもなるばかりでなく、それ以上は経営者の収入となるのであるから、やりがい、働きがいにつながる。

なお、「酒肴小路プロジェクト」では、標準的な企画店舗のほかに、経営者と一緒にオーダー店舗をつくることもできるので、独自の出店構想がある場合は相談もできる。

店舗銀行システムでは現在、同様のプロジェクトを、青森・東京・福岡・熊本・長崎でも展開中である。詳しくは、『店舗銀行』で検索いただきたい。

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3.飲食店経営は「人間資本」が決め手
~経験がなくても飲食店経営ができる時代になった~

11)経営者に求められるやる気と能力

飲食店を開業したい、経営したいという人にとって、店舗銀行システムは大きなチャンスである。

すでに述べたとおり、立地は繁華街の一等地。店は店舗づくりのプロが店舗力のある内装設備を施している。

だから、経営者が能力(人間力)さえ発揮出来れば、店舗銀行システムによる飲食店の経営は必ず成功する。

店舗経営者の役割を整理すると次のようになる。

1.料理
・食材、酒類の仕入れ業者の選定(食材サイト)
・調理(調理技術、レシピサイト、調理機器)
・食器・少道具
・メニューブックの作成(写真重視)
①突出した看板メニュー
②価格設定(客単価、原価率)

2.接客サービス(お客様の顔と名前を覚える)
・接客経験、特技、趣味、人脈
・協力者(家族・友人等)、

3.販促
・飲食店DM、WEBの活用(顧客リストの作成)
・情報誌、チラシ等

4.収益管理
・インターネットレジの活用(月次収支表)

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12)経営者に求められるやる気と能力

オーナー経営者は、文字通りに自分の店だから、自分の持つ人間力をフルに働かせ、繁盛店にしていくことだけを考えればよい。
そこで、飲食店の経営に不可欠な人間力の中身について、考えてみたい。

私の経験から言って、飲食店という舞台で、立派に観客(お客様)を惹きつけられる役者の資質は、次のようなものだと考えている。前述の「店舗経営者の役割」に沿って、具体的に述べていきたい。

第一に調理技術である。

小さな生業店の料理メニューは限られたものになるが、独自の食材・調理法によって、他にマネのできない突出した看板メニューをつくることは、お客様を惹き付ける大きな力となる。

その店の個性を強く打ち出した料理に、お客様は集まる。

ほかでは食べられない料理を大いに研究したいものである。

なお、メニューが限定的であることは必ずしもマイナスではない。

人間は選択肢が多いと、かえって目移りがして、選ぶことが困難になり、幸福度が下がるからである。

又、限定メニューにする事で材料費のロスや廃棄を抑えることが出来る利点もある。

食材や酒類は、各地の名産や珍味などが、スマートフォンでのやり取りだけで、生産者から直送してもらうこともできる時代だ。

また、これまで卸や問屋ごとに注文書をつくって送っていた食材の発注を、スマホから発注書が仕入先に簡単に送れるようにもなった。

小さな店では、経営者自身に料理をする力がないと、料理人が休んだり辞めたりしたときに店を開けられないという運営リスクがある。

しかし現在では、豊富なレシピを提供し、調理法もわかりやすく教える各種料理レシピサービスがあるから、料理に素人の経営者でもそれらを利用して料理を研究し、提供することもできる。

加えて最近は、スチームオーブン、真空包装機、フードプロセッサーなど、小型調理機器の進歩が目覚ましい、それらを活用することで他店にないオリジナル料理を作ることもできる。

たとえば焼き鳥における串打ちを挙げたい。

串打ち3年と言われるが、単に具材を串に刺して焼けばいいというものではない。

そんなことをすれば、焼いているそばから具材がバラけたり、焼きムラができて火が入りすぎて硬くなっている部分と、焼けていない部分ができる。

集中して毎日何時間もかけて行う串打ちだが、卓上自動串刺機を使えば1時間で200本近く仕込むことができる。さらに失敗も少ない。

つまり、料理が好きならば、自ら学び、努力することで、料理人がいなくても飲食店の経営ができる時代になった。

プロ並みの家庭料理という手もある。手作りのローテク料理には、大手飲食店の料理人にも出せない、独特の魅力がある。

新鮮な食材をお客様の目の前で調理をし、色や音、匂いといった五感に訴えておいしさを演出できるのは、小さな飲食店ならではのことだ。

同時に、料理の演出に欠かせないのが食器(皿、酒器など)である。食器は、時には経営者の感性・店の個性の見せ所となる。

料理メニューについては、写真でアピールしたい。写真はできればプロのカメラマンに撮ってもらうほうが良い。

写真でおいしそうに見えなければ、お客様を惹きつけることもできない。

最後に、メニューの料金設定は、非常に大事である。客層をどこに置くか、客単価、原価率を慎重に考慮して決定しなくてはならない。

第二は、接客が好きで、豊かなコミュニケーション能力を持っていることである。

お客様を集め、常連客にできる能力と言ってもいい。

歌がうまくて客を楽しませたり、ゴルフに長じていたりすれば、その話題でお客様を惹きつけることができる。

実際、お客様と一緒にゴルフコンペを楽しんだり、草野球チームをつくったりして親しくお付き合いしている経営者も多い。

飲食店は、ただ単にお酒を飲むだけの場所ではない。お客様や友人との交流の場であったり、又、リタイア後のシニア客が、時には過去を振り返りながら一人酒を楽しむ空間でもある。

東日本大震災の直後、余震などの恐怖から東日本では外食の売上げが激減したのだが、その中で、逆に満席の店もちらほらあった、とトータルフードプロデューサーの小倉朋子さんは言う(『愛される「一人店」のつくり方』)。

それは、小さな飲み処や立ち飲みバー、狭いカウンター席中心の飲食店など、小規模店舗でした。

店外まであふれるほど人気の店まであったのです。これらの店に共通していたのは相席しやすく、席と席の間が狭いことでした。

膝を接するような小さな店で、お客様が求めていたのは、楽しい会話と人とのコミュニケーションだったのである。

これこそ小さい店ならではの魅力だ。

それに小さい店だからこそ経営者は常連客の顔と名前が覚えられる。また、常連客同士が親しくなれるチャンスも多い。

そうなれば、お客様は店のサポーター(支持者・後援者)となって、店の経営を助けてくれることもある。例えば、新しい顧客を紹介してくれることもあるだろう。そのようなサポーターに囲まれている店は強い。

初めて来店したお客様をいかにリピーターとし、サポーターにまでなっていただくか、それこそがオーナー経営者の人間力、コミュニケーション力にかかっている。

実務については、大型書店やコンビニに行けば飲食店として成功するために必要な経営から料理、レシピに至るまでの、さまざまな実例や提案にあふれた実用本、雑誌が並んでいる。

また最近、無料のレジアプリが次々と現れている。

その中でも「Air レジ」が基本レジ機能の使いやすさや売り上げ分析・在庫管理・顧客管理など豊富な機能によって、圧倒的に支持されている。

店舗規模の大小を問わず、高機能のレジシステムを簡単に導入できる時代になった。

いずれにしても飲食店経営を目指す人に、勉強のチャンスはいくらでもある。

要は世の中の動きや現象を注意深く観察し、それらの一つ一つが自分の店に当てはめられないかと、常に考え続けることである。

そして、気づいたことや思ったことは、すぐ実行してみることが大切である。

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13)技術や人脈、人間資本を活かす

人間は自分の力を活かすことに、大きな喜びを覚える存在である。

店舗銀行の経営者は、自分の店を、想いを持って経営することで、生きがいを感じるはずである。

店舗銀行システムで「資本がなくても飲食店の経営者になれる」というのは、言い換えれば、飲食店の経営には、お金以上に大事なものがあるということでもある。それは「人間力=人間資本」ということになる。

人間力の発揮には、若者も高齢者も関係ない。

国の財政から考えても年金制度には赤信号が点滅しているし、高齢者医療は維持不能となっている。

高齢者となっても働き続ける時代が到来しているし、元気なうちは働いたほうが楽しい。

結果的にそれによって収入を得て、人生を豊かに過ごすことができれば、これに勝ることはないと言っていいだろう。

冒頭で紹介した『小さな会社 儲けのルール』でも、次のように言っている。

かりに、会社を辞めて独立して、新しい事業を始めるとしましょう。

その場合、前の仕事でなにを、何年やっていたのか、前の職業でどれが一番好きか、どんな商品、お客さんが好きか。

そういったことを自分自身で考え、一番好きで、うまく行ったもので独立すると、当然ですが成功率は高まります。

店舗銀行システムは、身元保証金、食器などの多少の開業資金は必要だが、多額の費用がなくとも開業できるのであるから、お金を得るエネルギーを人間資本の充実に向けることができる。

開業(設備投資)資金を得ようと働きながらお金を貯めるにも時間がかかるし、限界がある。

少しばかりの資金はできるにせよ、自分の店を持つまでには至らない。

それどころか、資金をつくることに熱中するあまり、もっと大切なものを失ってしまうことになる。

たとえば、出費を惜しむあまり、人との付き合いがおろそかになってしまうこと、また、独立開業のために飲食店を見て歩く勉強の機会がなくなることである。

その結果、肝心の技術の習得や人脈を広げる貴重なチャンスを逃してしまい、ますます独立から遠ざかることになりかねない。

店舗銀行のように、資本がなくても独立できるシステムがあるのだから、むしろ、独立に必要な条件を満たす努力をしたほうがよほど賢明である。

現に飲食業界で働いているなら、将来の独立に備えて、さらに経験を深め、より幅広い技術やコミュニケーション能力を身につけることである。
勉強のためにと、アルバイトで働くチャンスならいくらでもある。

接待や社内の飲み会などで、いろいろな店を食べ歩くことができるのもサラリーマンのメリットだ。人気のある料理や酒の知識を身につけるチャンスも多い。

最後に新しい働き方について考えてみたい。

まずは、副業・複業で飲食店を経営しようかという人もいることだろう。

本業のほかの仕事で稼ぐ副業については、就業規則で禁止している企業もあるが、いまや、政府がその解禁の後押しをする時代になっている。

その名もずばり『副業で始める「飲食店ビジネス」』(高樹公一・講談社)では、こんな時代だからこそ、飲食業は開業のチャンスで、「サラリーマン」であることが開業に有利であると言っている。

サラリーマンを続けながら開業する場合に、家族を法人の代表にすればよいという。

飲食業を開業するチャンスだというのは、飲食や人との対話は人間に不可欠なもので、不況に強い業種であることなどが理由であり、サラリーマンが有利だというのは、給料という定期収入があることでそれが信用力となり、開業費用を金融機関から借りやすくなるからだ。

これは、妻を法人の代表にし、本人は連帯保証人となって銀行からの融資を受けた著者自身の経験でもある。

『週末起業サバイバル』(藤井孝一・ちくま新書)には、サラリーマン出身の飲食店経営者の経験談の一つに、職場で培ったコミュニケーション力やマネジメント力、会社で使う計数管理などの経験が飲食業にも活かされたとある。

次にシェアビジネスとしての飲食店はどうか。

最近は、カーシェアやシェアハウスなどが一般的になって、シェア(共有する、分かち合う)という言葉がよく使われるようになったが、友人と一つの店舗を共同経営者としてシェアしながらその飲食店を成功させ、やがてはそれぞれが独立した店の経営者へと、本格的に生き方を変えることができるならば理想である。

また、店舗のシェアリングは、共同経営者の一方が病気になったり、旅行に出たりする場合にも、パートナーによってカバーすることができ、店を休まなくともよいというメリットもある。

また、シェアする共同経営者を求める方法として、ソーシャルネットワークサービスの利用も考えられる。

もともとシェアの概念そのものは昔から存在していた方法だが、IT技術の進歩によって誰でも気安く情報がやり取りできるようになった。

飲食業の経営者を目指す人に重ねて強調しておきたいことは、幅広い交友関係を築き上げておくことの重要さである。

ハーバード大学のジェームス・ヘスケットらによると、新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍以上になるともいわれる。今まで利用したことのない顧客に買ってもらうよりも、現在の顧客にもう一度買ってもらうほうが、はるかに低コストですむということだ。

人間力が資本力に振り回される現状の格差社会に強い矛盾を感ずるが、そのような現状に一石を投ずる意味でも、店舗銀行システムは、人間力豊かな人たちに協力を惜しまないことを約束したい。

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14)むすび 一つのソーシャルビジネスとして

この小冊子を書き終えた今、あえて最後に主張しておきたい私自身の日ごろからの想いがある。

それは、誤解を恐れずに言えば、

資本力のある外食企業ならいざ知らず、生業規模の店を借金までして作り、所有すべきものだろうか

という問いである。

確かに、自分の店を持つ(所有する)のは、一つの城を手に入れ、その城主になったような気分になれるかもしれない。それはそれなりに誇らしく、快い事とは思う。

だが、たとえ城主であるとはいえ、生身の人間である。人生、その身に何時、何が起こるか、わかったものではない。

ケガや病気に襲われるかもしれないし、心身の老化も避けられない。また、熱意を持って取り組んでみたものの、経営不振に陥ることもある。そうなると、多くの場合、せっかくの店を、手放さなくてはならない状況に迫られる。

しかし、そうした時に、思い通りに撤退ができるのだろうか。

長年、飲食業界に身を置いてきた私は、店を「所有」した結果、事情があって辞める際に、経営者を苦しめてしまう例を、多く見てきた。

ここで、改めて、店は何のためにあるのかを考えてみたい。

経営者にとって本来の店を持つ目的は「店を所有すること」ではなく、「経営して、収益を上げること」にあるはずである。

経営者の楽しみ、喜び、誇りといったものは、自らが人間力を発揮して、店を繁盛させ儲かることによって初めて得られるのであって、店の所有とは関係がない。であるならば、経営者は、必ずしも店を所有する必要がない。

店舗銀行システムの仕組みを始めて、40年以上になる。その仕組みは、投資家(オーナー)は資本を、店舗銀行は成功する店舗づくりを、経営者は人間力を、それぞれ提供し合い、共生しながら共同事業を進めていくというものであり、常に一貫している。

つまり経営者は店の「所有」ではなく、「経営して収益を上げる」ことにエネルギーを注げばよいという仕組みである。

このように、店の「所有」ではなく「活用」に、目的と大きな価値を置いた店舗銀行システムの基本的な考え方は、「脱所有」にある。

実は、この「脱所有」の考え方は、シェアビジネスの隆盛にみられるように、今後のビジネスの主流になろうとしている。

そして「脱所有」の仕組みであることによって、店舗銀行システムの飲食店経営者は、人間力さえあれば「お金がなくても経営者になれる」し、ときに、自分の健康や家庭の事情等によって、いつでも「やめる自由」を手に入れているのである。

将来に希望の持てる場=飲食店で自立しようとした人々にとって、経営者となる垣根がきわめて低くなり、人生の可能性が広がったと言ってよいだろう。

格差社会も問題であるが、それ以上に、現代社会では、いくら本人が頑張ろうと思っても頑張ることのできない社会構造になっていることが大きな問題である。

社会的課題を解決するためにビジネスの手法を用いて取り組むというのがソーシャルビジネスの定義だとするならば、私は、這い上がることの極めて困難な現代社会の課題を乗り越える仕組みとして、多くの方が、この店舗銀行システムの考え方に生き抜くヒントを見つけて頂ければと心より願っている。

葛 和 満 博

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